この作品は、マルティナショナル
ブラスアンサンブル第13回演奏会の委嘱作品として、
2010年8月、同団体により初演されました。
タイトルの“アマルガム”とは、
水銀と他の金属との合金の総称で、
“柔らかい塊”というギリシャ語に由来しています。
また、異なったものが融合するという意味も持ち、
「金管アンサンブル」という点にも掛けています。

形式としてはソナタ形式を基本としており、
冒頭のスケールの音列に、アルファベットの
A?Zを音列の構成音に順に当てはめ、
「Multi National Brass Ensemble」の綴りから、
いくつかの主題を抽出しました。
冒頭からモチーフ・音列の提示と、
ポリフォニックに組み立てられた第一主題、
それとは対照的に横に流れるような金属的な
音色の第二主題を要素に提示部を構成しています。
続く展開部では、フーガ風の2つの展開をしています。
「Multi National …」の音列の主題の全貌を
見せた頂点を迎えた後、第一主題に先行して
第二主題が再現され、第一主題を含んだ
冒頭の要素で締めくくられます。

全体を通して、冒頭のモチーフが随所に散りばめられており、
曲を構築する上で、全てのパートが重要な役割を果たします。
曲を分析していく中で様々な発見があるかもしれません。（平岡聖）